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留学前から約2年半に亘って書いてきたこのブログも、ついにこの投稿で終了です。これまで約17,500件のアクセスを頂きました。特に面白い言い回しを使う訳でもなく、日々の出来事を淡々と書くだけのブログでしたが、辛抱強く読んでくださってありがとうございました。少々忙しくなったときに投稿が滞ったことが何度もあったのですが、日々のアクセス数を確認する度、読んでくれている人がいるのだから頑張って書こうという気持ちを持つことができました。

Fletcherで学んだことは自分にとってとても貴重なものになりました。経済の授業では為替や金利の決定システムを深堀りすることができましたし、ファイナンスの授業では教授から何とかAをもぎ取るために努力したことが報われ、喜ぶことができました。一方で、日々の授業や修士論文の執筆課程では、自分の語学力や表現力、度胸といったものの不足に最後まで悩まされました。この2年間で修士レベルの学問的知識や語学能力は完璧になったとは言えません。

ある方から卒業報告メールの返信として、「1-2年の短期留学程度では、何か大きなものを得ることはできない。大事なのは今後勉強を継続することであり、今回の留学はそのきっかけに過ぎないのではないか。」という言葉を頂きました。2年間で大きな知的財産を築ければそれに越したことはないのですが、この方のおっしゃったことが修士取得のための留学として適当な評価なのだと思います。

今回のFletcherへの留学で確認できた自分の関心分野については、今後も勉強を続けていこうと思います。特に、世界の経済・金融情勢を理論に基づいてリアルタイム分析するという作業は、継続することで力がついていくと考えています。2年間で高められた英語のリテラシーを用いて、留学前は苦労して読んだFinancial Timesや、触れることを避けていた英語の論文等にも積極的に当たっていきたいと思います。また、今後は仕事に専念しますが、長期的なキャリアの中でもし1-2年猶予が得られれば、Executive MBAやMaster in Financeのプログラムに進み、そこで集中的に学術的な研鑽を積みたいと考えています。

アメリカの大学では卒業式をCommencement(始まり)と呼びますが、卒業が終わりではなく始まりであるという意味はとても正しいと思います。卒業生が大学で得た経験と知識を活かして社会の各分野で活躍することが大学教育の目的であり、それができるかできないかで受けた教育の価値が如何様にも変わるはずです。Fletcherに行っても、アメリカの大学院に留学しても意味が無かったとならないよう、今後Fletcherで履修したカリキュラムと仕事の内容を繋げて自分を成長させていきたいと思います。

このブログはこの投稿で終了しますが、国際関係大学院への進学、特にFletcher Schoolを検討への進学を検討されている皆様のためにアカウントは残しておく予定です。このブログに記載された記事が皆様のお役に少しでも立てば大変光栄です。マサチューセッツ州メドフォード市の気温は20度、風はあいにく微風です。ブログのタイトルのように風が強く吹く人生となるよう、今後努力していきたいと思います。
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by UbuntuK | 2012-05-31 12:32
帰国を前に、これまで一度は行っておこうと思いながら延ばし延ばしになっていたボストン美術館へ行ってきた。ボストン美術館は日本との縁が強い美術館で、明治時代に岡倉天心の尽力で日本美術が数多く紹介されてきたそう。色々と日本美術を見られればと思って出かけてみたのだが、実際のところそれほど日本またはアジアの美術品はなかった。土地柄的にアメリカ大陸の美術や植民地時代のニューイングランドの作品が多く、日本美術の作品は期間限定の個展のようなところで紹介されている程度だった。

全体の作品群の中では、近代のアメリカ人画家の作品が良かった。特にアメリカの印象派的なタッチで描いているものは、都会や田舎の風景を描いたヨーロッパの印象派の作品よりも背景に自然が多く用いられていて、当時のアメリカの雰囲気を感じ取ることができた。アメリカはほぼ全土が既に近代化されているが、自然と人間が一体となって暮らしていた頃の風景がヨーロッパの風景と対照的で、新しい感動を観る人に与えると思う。誰が描いたものだったかをきちんとチェックしておけば良かった。インターネットで調べれば出てくると思うので、時間があるときにチェックしてみるようにしたい。

Boston Museum of Fine Arts 玄関
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卒業式から帰国日までの期間にやり残したボストン観光をやり切ってしまおうということで、今日はBoston Red Soxの試合を観に行ってきた。これまでSeattle Mariners、New York Mets、Yankeesの試合を観に行ったことはあったのだが、肝心のRed Soxの試合を観ないまま2年間を過ごしてしまったので、最後のチャンスだと思ってチケットを取った。試合は日曜日のデーゲームで若干暑かったが、家族連れなどで来ているファンの雰囲気が心地よく、ナイトゲームよりも格段に楽しめたと思う。

対戦相手はTampa Bay Raysで、メジャーリーグにしてはかなりの低得点ゲームだった。6回まではRays 1-0 Red Soxで、高校野球のような早いテンポで試合が進んでいった。RaysのHellicksonというピッチャーが良く、ス70%の確率でストライクを取ってポンポンとアウトを取っていた。三振は少なかったのだが、Red Soxの打者がかなりの割合で浅いフライを打ち上げてしまい、ほとんど得点圏にランナーを進められなかった。7回表にRaysに追加点を与えられて0-2となったが、7回裏に突然Hellicksonの調子が崩れ、フォアボールとヒットで1、2塁とした後、Gonzalezがグリーンモンスターのポール際を越えるホームランを打ち、3-2と逆転した。Hellicksonは続投したのだが、制球が乱れてしまい、途中で交代した。

9回表までは3-2のまま進んだので、このまま勝てると思ったのだが、登板したストッパーのAcevesがフォアボールの後にグリーンモンスター越えのホームランを浴びてしまい、3-4と逆転されてそのまま負けてしまった。Red Soxの勝ちゲームを観られなかったのは残念だが、打線の状態を見るとRaysの方が完全に上回っていたので、必然の結果のように思えた。1チャンスで3点を取ったRed Soxがそのまま逃げ切れればうまく逃げ切ったという結果になったのだが、そうもいかなかった。Red Soxはこの試合で負け越し、American Leagueの最下位継続ということになった。皆強いRed Soxのイメージを持っているし、低迷してもスタンドを満員にする人気を維持しているので、何とかがんばって復活してほしい。

今日の試合で一番良かったと感じたのは、敵チームではあるのだが、Rays先発のHellicksonだった。ラフなセットアップポジションから投球するのだが、ストレートが十分に速いし、制球も良い。6回まではほぼパーフェクトなピッチングだった。Raysの逆転勝ちだったので勝ち負けは付かなかったが、ずっと良いピッチングをしていた分、7回のホームランとその後の制球の乱れを悔やんだと思う。監督から交代を告げられてダグアウトに下がるときに、空を見上げて頬を膨らませながらため息をついている姿に悔しさがにじみ出ていた。調べてみると、この選手は高卒でRaysのファームに入り、前年にメジャーに昇格してアメリカンリーグの新人王を獲得した選手とのことだった。メジャー昇格までに長い期間を要したピッチャーで、今25歳とのことで、今後活躍を続けてほしいと思った。

帰国前ギリギリで何とかRed Soxの試合を観ることができた。Bostonにはアメリカの四大プロスポーツ全てのチームがある希有な都市で、スポーツを観るにはとても良い。MLBが最後の最後になってしまったが、これまでにMBAのBoston Celtics、NFLのNew England Patriots、NHLのBoston Bruinsの試合を観ることができた。全部の試合を観てみて、スタジアムで観戦する価値のあるスポーツは順に①野球、②バスケットボール、③ホッケー、④アメリカンフットボールだと思った。野球は日本のスタジアムよりもフィールドとの距離が近く、スタジアムの一体感とプレーの臨場感を感じやすい。バスケットボールもゲームとファンの熱気が十分に伝わって楽しい。ホッケーはパックの動きが追いづらく、ゴール前で絶えずもみ合いになるため、ゴールのシーンが判別しづらく、あまり盛り上がれない。アメリカンフットボールはスタジアムが大きい上にボールに相当な人数が群がるので、ボールの動きが追いづらく、一つ一つのプレーで10ヤード進んだのかどうかがスタジアムでは識別できない。野球とバスケットボール以外はテレビで観た方が面白いと思う。1回ぐらいは経験として観に行ってみるのもいいと思うが、熱心に通いたくなるほどスタジアムでの感動は得られない。

Fenway Park: 外周道路
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Fenway Park: ライトスタンドから眺めるダイヤモンド
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今日はFletcher Schoolの卒業式だった。朝7時45分に寮の庭に集合し、卒業証書の受け取り順に関する番号札を受け取った後、Champagne Toastという乾杯の儀式を行った。Toast Masterと呼ばれる投票で選ばれた学生の代表2人がスピーチを行った後、皆で乾杯した。

Remarks by Toast Masters
1人目のスピーカーは真面目なことをしっかり話す女の学生で、熱い思いが話に込められていた。ただ、内容的にはFletcher的な左寄りの内容で、少しエキセントリックにも感じた。私の父母はアクティビストで、絶えず権力と戦ってきた。父は労働組合のトップとして・・・といった内容。少し肩の力が入り過ぎだったのではないかと思う。2人目のスピーカーは誰もが認めるお祭り男で、イベントでDJをやったり、イベントがあれば先頭を切って乗り込んでいくような人物。スピーチも笑わせる要素を盛り込んでいて、同じくお祭り男的な人間の名前とエピソードを複数挙げながら、場を盛り上げていた。両極端な2人が話したことでバランスが取れて良かったと思うが、自分としては2人のキャラクターの間を取ったような学生が1人で挨拶をしてくれるぐらいがちょうどよかった。

Tufts Commencement
Champagne Toastの後は、大学全体の卒業式であるTufts Commencementに列を作って入場した。会場はThe Greenと呼ばれる大学の中心部にある芝生のエリアで、大学院であるFletcher Schoolの席は学部生の席の後ろだった。遠くて若干見づらかったが、音はよく響いたので、総長や学部生代表のスピーチ等もよく聞こえた。学部生代表のスピーチは冗談がたくさん盛り込まれていて若さを感じさせたが、それでもあの年で10,000人規模の聴衆を前にスピーチする姿は立派だと思った。さすがアメリカ人はプレゼンテーションやスピーチなど、相手に意思を伝える技術に長けているなと感じた。

Tufts Commencementは、小さいながらも総合大学としての規模を持つ大学の卒業式ということで、なかなか壮観で面白かった。ただ、Fletcher生の態度が他の大学院や学部の学生に比べて悪く、少し恥ずかしい気持ちになった。他の学部・大学院の学生は、自分達のスクールの名前が壇上で呼ばれたときに一旦盛り上がって歓声を挙げたりはするのだが、会の進行を妨げないよう、すぐに止めて静かにしていた。Fletcherにはそれができず、自分達のスクールの名前が呼ばれると立ち上がって歓声を挙げ、その後LL.M、MALD等、それぞれの学位の名前が呼ばれる度にまた立ち上がって歓声を挙げていた。ワーッと言ってすぐ着席すればそれでも良いのだが、Fletcherの名前を連呼するFletcherコールが果てしなく続き、1スクールだけとても浮いた感じになっていた。職務経験を要する大学院なので、年齢的にはTuftsの中で一番高いはずなのだが、やっていることは学部生より大人げなかった。Fletcher生のキャラクターが元来子供だからなのか、Champagneを朝から煽ったからなのかは分からない。もしかするとその両方が原因かもしれない。

Fletcher Commencement
Tufts Commencementの後は、前日にFletcher Class Dayが行われたテントでFletcher Schoolとしての卒業式のために移動した。朝集合した寮の庭にもう一度集合し、事前に受け取っていた卒業証書の受領順が書かれた番号順に並び、テントの後方中央から2列になって入場した。卒業式では卒業証書の授与がメインになるため、重要なイベントは前日のFletcher Class Dayの際に行われていたのだが、この日はTeaching Awardの授与と卒業生の中から立候補して投票で選ばれた2名によるスピーチが予定されていたので、それぞれに楽しみにしていた。

Teaching Award
Teaching Awardを受賞したのは、自分が修士論文執筆のアドバイザーとしてお世話になった経済学のProfessor Lawrence Krohn。Professor Krohnは、ColumbiaでPh.D.を取得した後、ING、Lehman Brothers、UBS等でエコノミストを務め、Fletcherの教職からアカデミアの世界に戻ってきた実務系の経済学者。FletcherではIntroduction to Economic TheoryやInternational Finance等を教えている。Teaching Awardは学生の投票により年一回選ばれる賞であるため、学生の代表が受賞者の発表と選定理由を壇上で説明した。説明は、理論と実践の両方に精通し、非常に我慢強く、熱心に経済学に疎い学生の指導を行ったというもの。これには自分も同感だった。

Fletcherは法律と外交に特化した大学院として成立したので、経済学の重要性に対する認識がずっと低かった。Harvard Kennedy Schoolに合格した出願者が、経済学が苦手だからという理由でFletcherに進学することもある。International Financeの授業では、2回目の試験の結果に驚き、「この中に経済学の未修者はどのくらいいる?履修者の点数の分布から成績を付けるが、良かったからといって安心するな。就職活動ではJohns Hopkinsや他の大学院の学生と競争しなければならないんだぞ。」と言ったほどだ。そんな中で学生の経済学に対する理解にがっかりしつつも、懇切丁寧に授業や質問対応を行っていた。教授は我慢強い性格故に、斜に構えた学生からからかい半分の質問を受けることがあったのだが、そのときも丁寧に回答しようと努めていた。アメリカ人にもこんなに我慢強く誠実な人がいるのかと驚いたほどだ。

そして何より、教授は自分の拙い論文を丁寧に読み込み、指導してくれた人物だ。セルフチェックだけして提出した一次稿では英文表現について驚かせてしまったが、その後も忙しい中でフォローアップし、最終的にAの評価をくれた。もちろん教授自身が忙しさにかまけてレビューを失念していた期間もあったのだが、何とか公表しても大丈夫な水準になるよう、愛のあるダメ出しをしてくれた。文章の再チェックをして修正するプロセスは楽しいものではなかったが、はっきりと良い悪いを言ってくれたお陰で最終的に読めるレベルの内容になったと思う。しかも、色々と言い過ぎてこちらが意気消沈していると思ったのか、Fletcher Class Day CeremonyのFaculty入場の際には行進中に自分を見つけ、にっこりとウィンクしながら口パクで"Kohei, great writing!"と言ってくれた。今日も、Tufts CommencementのときにはFletcherの学生が入場するルートに立ち、関係のある学生と名前を呼びながら握手していた。そして、自分が卒業証書を壇上で受領するときも、にっこりと笑って名前を呼びながら、固く握手してくれた。自分を筆頭に能力の足りない学生を相手にするのはとても大変だったとは思うが、最後まで辛抱強く相手をしてくれたことに感謝している。本当にありがとうございました。

Remarks by Graduating Students
Teaching Awardの授賞式の後は、学年の代表者2名によるスピーチがあった。1人はコロンビア人のノンネイティブの学生で、自分が英語について苦労したこと等を挙げながら、Fletcherでの2年間を振り返った。スピーチの中ではCollaborationという言葉を強調し、Fletcherの学生同士が卒業しても繋がり、協力し合いながら大きなことを成し遂げようと言った。ラテン系の学生によるFiesta Latinaというイベントの代表として活動したり、Fletcher Futbolというサッカーチームをキャプテンとして準優勝に導いたりした人物なので、この学生からCollaborationという言葉を聞くと説得力がある。また、ノンネイティブでないながら勇気を持ってスピーチを行う姿勢は、日本人も見習わないといけない。英語の拙さをスピーチ内の冗談に入れつつも、堂々と自分の思いを聴衆に向けて発信していた。

もう1人のスピーカーは、残念ながら自分がよく知らない学生だったが、非常に密度が濃く、印象深い内容だった。スリランカ人の学生が運営するNGOを例に挙げ、Fletcherはスリランカ全体の教育を考え、推進する学生を擁する大学院であると述べ、個々の学生が行った活動を踏まえて卒業生の今後の社会における活動を鼓舞するメッセージが込められていた。また、Sacrificeという言葉を用いて自己犠牲を伴う協業の価値を説いていた。スピーカーは、学生が主体となって発行する学術誌の編集者でもあることからとても真面目な学生で、最後に自分のスピーチは冗談を欠いたものであり申し訳ないと言っていた。聴いている側からするともちろんそんなことはなく、こうした学生から真摯なメッセージを得られたことがとても良い刺激になった。日本人の卒業生も、いつまでも50年前に在籍した元国連事務局次長の明石康氏が、Fletcherの代表的なOBとして例に挙げられているようでは駄目だと思う。彼が言うように、Fletcherのアカデミックな面とプラクティカルな面を併せ持つ人材として、国際社会で認められる日本人を輩出していなかなければならないし、自分もその一員になるべく努力しないといけないと感じた。

Presentation of Diplomas
スピーチの後は、200人超の学生に対する卒業証書の授与があった。この儀式はただ壇上に上がり、卒業証書を学長から受け取り、学長と写真を撮るだけのものなのだが、自分の順番が来ると妙に緊張した。ただ歩いて握手するだけの行為にしては緊張し過ぎだった。印象深かったのは、自分が証書を受け取ったことよりも、家族と一緒に写真に壇上に上がった卒業生数人を見たことだった。小さい子供を連れて壇上に上がった卒業生の姿はとても微笑ましく、見ていて温かい気持ちになった。出産間近、生まれたという話を聞いていた学生の子供を2人壇上で見ることができたので、感慨深かった。Ph.D.を取得した学生の中に、軍人でミッションに参加しているため本人が式に参加できないというケースがあった。奥さんとガウンを着た女の子が壇上に代わりに上がって証書を受領したのだが、父親が危険な任務に就いているであろうという事実を知る寂しさと、女の子が父親の代わりにガウンを着ている微笑ましさが入り交じって、少し複雑な気持ちになった。

Tufts Commencement: Fletcher School卒業生の座席から
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Fletcher Commencement: 任務中の父親に代わってPh.D.のDiplomaを受領する母娘
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by UbuntuK | 2012-05-21 06:48 | 卒業式
今日はFletcher Class Day Ceremonyという卒業式の前日に行うイベントの日だった。内容は1、2年生の成績優秀者、最優秀博士論文受賞者に対する賞の授与、ゲストスピーカーによる講演、Dean's MedalというFletcherから関連分野の功労者に対するメダルの授与と講演等だった。

Remarks by Professor Jenny Aker
最初の講演ではJenny Akerという計量経済学の教授によるスピーチがあった。正式なスケジュールではFletcherの卒業生の代表者が講演することになっていたのだが、本人が急遽式典に参加できなくなったとのことで、代打でこの教授によるスピーチが行われることになったそうだ。教授はUC BerkeleyでPh.D.を取得したのだが、MasterがFletcherということで、卒業生にとってとても親近感のある人物だ。そういう意味では代打として適任以上の役割を果たしたと思う。スピーチの冒頭では、「金曜日の午後に学長から電話をもらって急遽スピーチすることになった。私がここに呼ばれたのは名字がAから始まり、教職員リストの一番最初にあって片っ端から掛ける中の1番目だったからだろう。」という話をし、学生の笑いを誘っていた。そういう事情はあるにせよ、スピーチの内容は今日の講演者の中で一番良かったと思う。教授はUC Berkeleyの博士課程に移る前の経験にフォーカスを当て、「博士課程に移ってからはフィールドと切り離されているが、自分もFletcherを出た後はNGO等の仕事でフィールドに出て仕事をしていた。皆さんが受け取る卒業証書には同じことが書かれているが、今後社会に出て行う仕事は皆多様だ。今、自分の周囲の学生を見渡し、多様な卒業生達と今後も繋がっていってほしい。」と話した。Fletcher卒業生の立場として語ってくれたことで、とても身にしみる内容になっていた。教授のスピーチが終わった後、学生による長いスタンディングオベーションがあった。

Edward R. Murrow Award of Public Diplomacy
次の講演者は、Public Diplomacyの賞をFletcherから受けた、米国国務省アフリカ局の公共外交部門に所属するDavid Bruce Whartonという人で、卒業して社会生活を送っていく上で大切なことは2点あると言った。そのうちの1点は感謝で、Gratitudeの気持ちを持つことは何物にも代え難く重要だと言っていた。自分もこれは本当だと思う。感謝の気持ちを常に持ち、持つだけでなくそれを具体的に相手に伝えることが重要だと思う。卒業生の視点に立ち、意味ある言葉を投げかけようという意図が伝わり、良いスピーチだと感じた。

Prizes to Outstanding Students
2人のスピーチが終わったところで、1年生と2年生の成績優秀者に対する表彰が行われた。1年生は1名、2年生は2名が受賞者だったが、顔と名前を知っていたのは2年生2名のうちの片方だけだった。もう片方は、多分外交や政治等、自分にあまり馴染みのない分野を専攻していた学生だったのだと思う。知っていた方の2年生は、大学からアメリカで教育を受けたドイツ人の女の学生だった。できれば自分がよく知っているFinanceのクラスでTAをやっていた学生に取ってもらいたかったが、一つB+を取っちゃったし、A-もあるから駄目だよと学期終了後に言っていた。1学年は200人いるので、自分がよく知っている学生が受賞できるとは限らないのは仕方ないことだが、あまり馴染みのない学生の受賞だったので、自分としては少し残念だった。

Dean's Medal
Class Day Ceremonyの最後は、Dean's Medalの授賞式と受賞者によるスピーチが行われた。今年度の受賞者はアメリカ外交評議会議長のRichard Haassという人。自分はこの人を良く知らなかったのだが、周囲の人に聞くと、外交界ではとても有名な人物のようだ。スピーチの内容は、米国が今後世界でプレゼンスを発揮していくために必要なことに関するものだった。Haass氏は米国に必要なものとして経済、教育等の3点を挙げ、それぞれに説明していた。教育については、アメリカの大学教育は世界でも有数のレベルにあるが、高校までの12年間はひどいものであると言っていた。日本の教育は高校までは素晴らしいが、大学で失速するという認識が共有されているが、米国でも同様に初等中等教育が危惧されていることを認識し、興味深く感じた。教育に関する問題意識という点は面白く感じたが、スピーチの内容を総合すると、あまり良いものではなかったように思う。Fletcherという様々な国籍の学生が在籍する場で、敢えて米国の世界における地位について熱心に語るのは独善的だったし、スピーチの中に卒業生に向けての言葉が一切入っていなかったことも興味を失わせた。卒業式の場で、しかもFletcherの卒業式の場で行うスピーチではなかったように思う。

Fletcher Class Day
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by UbuntuK | 2012-05-20 04:49 | 卒業式
今日は卒業式の練習の日だった。この年になって練習をするというのに違和感があったのだが、行ってみると確かに注意事項の説明と一緒に練習というものがあった。練習の方は実際にやってみないと分からなかったので、あってよかったと思う。一方で注意事項の説明の方は小学生をなだめすかして行うようなプロセスで、びっくりした。

卒業式の注意事項説明と練習は3時間予定されていて、集合時間は9時15分だった。いつもまともに集まらない学生がきちんと来るのか疑っていたのだが、ASEAN AuditoriumというFletcherのホールに入ってみると、100人超規模の学生が勢揃いしていた。遅れて入ってくる学生も少なかったので、都合が付かなかった学生以外は皆きちんと出席したようだった。他のイベントだとこのようなことは起きないと思うのだが、卒業式という開放感と楽しさに満ちたイベントになると、皆自主的に早く来るようだ。

集合の正確さにも驚いたのだが、Registrar's Officeという大学院の全カリキュラムの担当者と学生事務統括Deanの2人が卒業式のスケジュールについて説明し始めたときにはもっと驚いた。普通は卒業式のスケジュールと服装やプロセスについての説明をして終わりなのだが、それを2人がクイズ形式で行い、手を挙げて正解した学生にはFletcherのマグカップと写真立てを賞品として渡すというイベントになっていた。質問は、「明日の集合時間はなーんじだ?」、「明後日の服装はなーんだ?」といったようなもので、バカにされているのかと思った。

でも実際は学生全員がスーツか制服で来る日に200人中一人だけがガウンを着ているとだいぶ気まずい感じになるし、卒業式の開始時間に全体の6割程度しか集まっていない等となれば、場の雰囲気が相当悪くなるだろう。そういう意味で、プロセスよりも結果を重視したこのやり方は一番良いのかもしれない。本来は学生が卒業式の案内文書をきちんと読み、皆が細かな誤りなく時間通りに所定の場所に集合すべきなのだが、それに期待したり、事務的な説明だけでその流れを済ませてしまうと、予期せぬ失敗が起きてしまうかもしれない。

卒業時平均年齢29歳の学生がこのような形で説明を受けるのは屈辱的な感じもするが、お陰で自分も卒業式の詳細が頭に入った。実際、1日目のFletcher Class Day Ceremonyと2日目のCommencementと呼ばれる正式な卒業式のうち、2日目については7時45分のChampagne Toastという乾杯の儀式はサボって、11時の卒業式前に行けば良いかなと思っていたのだが、Champagne Toastの際に証書受け取りの順番が書かれたナンバーカードを渡すとのことで、それに欠席すると卒業式本番でかなり混乱してしまったかもしれない。このことは案内文書に書かれていなかったので、クイズ形式で頭に入れておいてよかった。

卒業式の練習では、入場の仕方と証書受領時の歩行ルートについて練習した。これは実際にやらなければ分からなかったことなので、やっておいて良かったと思う。学生は何人もいるので、普通は後に付いていけば問題ないのではあるが、仮に自分が列の一番端になったときは、自分でルートを作って歩かないといけない。そういう低い確率ながらも何となく不安が残る事柄について冷や汗をかかずに済むという意味で、練習しておいてよかったと思う。それにしても、日本では仮装大賞でしか見ないようなあのガウンと角帽を被るのは、あまり気乗りがしない。
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by UbuntuK | 2012-05-19 06:46 | 卒業式

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カリフォルニア州アーバインの町で起こった環境被害に対する訴訟の映画。社会的地位の低い一市民である主人公が、勤務先の弁護士事務所で見つけた書類に基づき調査を進め、深刻で大規模な公害問題を暴いたストーリーが描かれている。地位的に恵まれた立場でなく、言動や服装が他人に不信感を与えるような主人公が、市民の味方として大企業という権力に立ち向かう様が爽快感を与える。被害者数百人の電話番号を全て暗記しているなど、かなり誇張された部分があったものの、基本的なストーリーは事実に基づいているため、納得感を持って観られる。また、慈善活動としてではなく、自分自身の報酬もボーナスとして明確に要求する様子は、良い意味でアメリカ的なストーリーであると感じた。相互に利益があってこそ社会活動は成立するというメッセージが込められているようで、こうした正義感が日本でも定着すれば良いと思った。

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英国王のスピーチの真実 ~ジョージ6世の素顔~ [DVD]

Happinet(SB)(D)

英国王ジョージ5世の次男として生まれ、長男の国王退任により急遽第二次世界大戦前に英国王となったジョージ6世が、自身の持つ吃音の障害を言語能力療法士とともに克服していく様子を描いた映画。主題は吃音に悩む国王が、国民に響くスピーチをできるよう訓練するというものだが、忍び寄るナチスの脅威の下で、急遽繰り上がりで重責に就かなければならない国王の苦悩や、家族、療法士との心の交流が鮮明に描かれていて、単なる言語能力のトレーニングを超えた、人間ドラマとしての意味が持たされている。主人公はLove Actuallyでホラー小説家をコミカルに演じたコリン・ファースで、知る限りの役柄と異なるシリアスな演技が素晴らしいと感じた。アカデミー賞で主演男優賞を受賞したことにも納得がいく。

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マネーボール [DVD]

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

予算に制約をもつAuckland AthleticsのGeneral Manager、Billy BeaneがYale大学経済学部卒のアシスタントと共に、統計データに徹底的に基づいたチーム編成により、優勝を目指す物語。事実に基づいたストーリーであり、行き過ぎたサクセスストーリーになっていないところが観る者に納得感を与える。スタンフォードの推薦入学を蹴ってプロに進む道を選んだものの、十分な結果を残せずに選手としてのキャリアを終わらせなければならなかった主人公の後悔を伴う回想シーンが劇中に登場し、主人公の心境をリアルに表現している。リーグ優勝はならなかったものの、アメリカンリーグ史上初のリーグ戦20連勝を記録するなど、誇張がない中にもしっかりとドラマが刻み込まれていて、爽快感を十分に与えてくれる。野球ファンであればもちろん、そうでない者にも感動を与えてくれると思われる映画。マネーボールというタイトルは、この映画の”人は野球に夢を見る”という主題に敢えて対峙する意味を持たせていると最後に気づかされる。

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バンダイビジュアル

70年安保に関わる学生運動が東大安田講堂鎮圧により完全に下火となった1970年前後の学生運動家と、それを追うジャーナリストの行動を中心に描いている。時代背景を映像を通じて鮮明に理解できたことは価値があった。一方で、自分の思想を貫くことができず、逮捕されるや否や身内や関係者を簡単に売ってしまう梅山の人物像にあまりにも失望してしまい、倦怠感だけが残った。未熟な精神を持った学生がにわかに学生運動に憧れるも、現実には組織を統率して理想を実行に映すだけの覚悟も責任感もない、というドキュメンタリー的な意味における描写としては興味深かった。ドラマとしての爽快感や臨場感、哲学的示唆といった意味においては物足りない。

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