Fletcher考察: ⑥ Fletcherと能力開発

Fletcherにおける2年間で得られる能力は様々なものがあるが、最も伸びるのはライティング能力である。学問重視の国際関係大学院として、ある程度長文のペーパーを執筆することを求める授業の割合がFletcherには多い。自分自身が2年間で書いたペーパーの枚数は、修士論文と合わせて200ページを超える。それ以外にグループレポートやペーパーもあるので、全て合わせると300ページ超になるだろう。最初の学期から25ページ指定のペーパーを書かされるなどして苦労したが、4学期分の授業を終えてある程度長いペーパーでも論旨を一貫させて完成させることができるようになり、ある程度の達成感を得ることができた。

ライティングの課題を授業別に挙げると下記の通り。

Fall 2010
D220 Processes of International Negotiations: 中間ペーパー10枚+期末ペーパー25枚
E240 Development Economics: ポリシーメモ2枚
B200 Foundations in Financial Accounting and Corporate Finance: グループレポート5枚x3+ファイナルプロジェクトペーパー5枚

Spring 2011
L233 International Financial and Fiscal Law: 中間ペーパー10枚
E241 Development Economics: Policy Analysis: 期末グループペーパー30枚
B220 Global Financial Services: 期末ペーパー15枚

Fall 2011
L230 International Business Transactions: グループ作成契約書+個人レポート5枚
E243 Agriculture and Rural Development in Developing Countries: 期末グループペーパー30枚
B226m Large Investments and International Project Finance: グループレポート6枚+期末レポート6枚
B260 International Marketing: 期末グループペーパー20枚

Spring 2012
P205 Decision Making and Public Policy: ポリシーメモ2枚x3
P266m Islamic World: 中間レポート5枚+期末レポート15枚
B221 International Financial Management: グループレポート5枚x3+グループプロジェクト20枚
B225 Corporate Finance and Banking: A Comparative East Asian Perspective: 個人レポート5枚x3+期末レポート20枚

Thesis
60-100枚

これだけ多くを書かされる中で、ライティング能力は必然的に付く。自分はThesisの分量でライティングを行った際に、構成や英文表現が乱れてしまったが、20枚程度までの個人ペーパー程度であれば、問題なく書けるようになった。最初の学期はこれだけ長いペーパーを数多く書くことに能力的にも時間的にもついていけないという印象があったが、4学期終えてみると、かなり進歩したという印象がある。特に最終学期は、それまで自信がないが締め切りが迫っているので分量を揃えて提出する、という流れに終始していたペーパーの質を、自信を持って期限前に提出できるレベルまで持っていくことができた。

ライティングに次ぐ能力としては、ディスカッションとネゴシエーションに関する能力が挙げられる。FletcherのDiplomacy, History and Politics (DHP)の授業のうち、DiplomacyとPoliticsに関しては、卒業後に米国国務省や他の省庁で実務に就くことを希望する学生のニーズを想定し、政策決定交渉に関するロールプレイが用意されている。これはノンネイティブにとって非常に厳しいものだが、積極的に議論に参加する意欲があれば、得るものは多いだろう。自分はInternational Finance and BankingのCertificateの必修になっているD220 Processes of International Negotiationsという授業を最初の学期に履修した。これはHarvard Law Schoolが開発した交渉の授業形態を取り入れたもので、ケースを通じて様々な交渉のロールプレイを学生同士で行うものである。自分は入学したての学期だったということもあり、シミュレーションで議論に付いていくのに相当苦労した。また、必修ということで嫌々履修していたこともあり、あまり面白いと感じることもできなかった。きちんと英語で意見が言えるようになりたいという意識を持っている学生であれば、こうした交渉やディスカッションを重視する授業を固めて取ってみるのもいいかもしれない。

ライティングに重点が置かれるFletcherのカリキュラムの中で、ビジネススクール等他の専門職大学院に比べて不足するのは、プレゼンテーションやグループワークの量だろう。プレゼンテーションについてはMIBの必修科目になっている中南米やイスラム圏、欧州といったArea Studiesのモジュール授業等で意図的にプレゼンテーションの機会を設けているものはあるが、普通にMALDの必修科目を履修しているだけでは座学と試験、ペーパーのみで終わってしまうものも多い。人前で個人プレゼンテーションを一定の時間をかけて行う授業は、自分の場合2科目しかなかった。グループプレゼンテーションを含めても5科目のみである。プレゼンテーション能力やグループディスカッションの能力を高めたいと考える学生は、意図的にMIBの履修科目になっているEconomics and International Business (EIB)の授業を多く取ってみるといいかもしれない。自分が行った個人プレゼンテーション2つのうち両方、グループプレゼンテーションを含む5科目のうち4科目はEIBの授業だった。ビジネスの現場で必須と考えられるプレゼンテーションやグループディスカッションの能力は、国際関係大学院の授業ではあまり重視されていない。ビジネススクールのカリキュラムを意識しているEIBの授業では、そちらにも重点が置かれている。
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