Fletcher考察: ② Fletcherと就職

FletcherはGeorgetownのMSFSと並び、アメリカの外交官養成大学院として知られている。外交官となった学生の正式な就職先は米国国務省(US Department of State)で、学生は外交官になるために、知能テストを含む専門試験や面接を受ける。Fletcherから外交官になる学生は相変わらず多いとは思うが、絶対数は過去に比べて減少しているように思われる。現在は外交官輩出者数において、MSFSに次ぐ全米2位とのことだが、1学年約90人のMSFSが約200人のFletcherよりも外交官を多く輩出しているということで、Fletcher内の外交官志望者数は減少しているようだ。EIB科目の拡充や、国際機関、NGO志望者の増加が原因かも知れない。

外交官養成大学院から多様な進路を希望する学生に対応する国際関係大学院へとシフトする中、就職する人数が増えているのは国際開発銀行とNGOであるように思われる。Fletcherは従来国連への就職に強いと言われ、Fletcher Mafiaと呼ばれる強固なAlumniネットワークにより、学生をコンサルタント職等に登用してきた。一方で近年は開発経済や個別のセクター研究を専攻して、世界銀行やADB等の開発金融機関のコンサルタント職に就く学生が増えているようだ。Fletcherもこうした学生のニーズに応えるべく、EIB科目の拡充を図っているように思われる。また世界的にNGOが成長を見せている中で、NGO出身者がFletcherに入学するケース、卒業生がNGOに就職するケースがそれぞれ増えているようだ。1年次に授業のグループワークで一緒になったアメリカ人の女子学生は、前職はCAREというNGOで、卒業したら多分CAREに戻ると言っていた。

民間セクターについては分からないが、恐らく昔よりも就職先として選ぶ学生は増えていると思われる。学生のバックグラウンドの多様化の中で、MALDという伝統的な学位の履修生の中にBusiness MALDと呼ばれる民間志望の学生集団が出現したり、MIBという準MBA的プログラムができたことで、投資銀行や戦略コンサルティング会社の出身者が増えたりしたことで、民間セクターに就職する学生の絶対数が格段に上がったと思われる。一方で日本人留学生は政府または政府系機関出身者で占められ、大手PEファームで経験を積んだMBA的には価値の高い出願者を一旦Wait Listに入れたりしているので、Fletcherがこの民間セクター経験者/志望者の増加を肯定的に捉えているのかどうかは分からない。

いずれの変化の中でも、政策系科目に比重を置く国際関係大学院であるFletcherの学生が、就職に苦労する傾向にある事実は変わらない。投資銀行やコンサルティングファームは主要なビジネススクールのみに対しリクルーティング活動を行うし、シンクタンクなどは経済学に強い国際関係大学院の方が有利だろう。アメリカ人であれば米国政府に入るというメジャーなルートがあるが、日本人や他国の留学生で転職を目指す人は、世界銀行や国連のコンサルタント職、NGO職員など、Fletcherが確実に強みを発揮できる分野に絞った就職活動を行う覚悟を決めた上で入学すべきだろう。民間セクターへの就職ももちろんできるし、在学中の方向転換も可能だが、ビジネススクールの学生に対してビハインドを負った状態で就職活動に臨むことは、理解しておかなければならない。
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