冬休み2011-12 ⑦

今日はスターバックスで修士論文を少し書いた後、家に帰ってiTunesで『阪急電車』という映画を観た。この映画は自分の地元から近い阪急今津線という短い路線を利用する人達の小さいドラマを扱ったオムニバスの構成で、ロケーション的な親近感のみならず、ストーリーにも感動できる内容だった。阪急電車という設定も良い。近隣は比較的落ち着いた住宅街で、混雑した東京の電車とは違って比較的ゆったりした状況設定ができる。阪急電車のエンジ色と木目調の壁も上品で、他の電鉄会社の車両よりも良い雰囲気を作り出せる。阪神電車や近鉄電車では、残念ながらこうはいかない。自分は近鉄沿線に住んでいたので、登場人物の設定においても沿線の雰囲気においても、阪急電車には敵わないことがはっきり分かる。本当は、映画に出てくるような落ち着いた雰囲気を地元の街並が持っているととてもいいのだが。

特に印象に残ったのは、登場人物群の中の1組である老婆と孫を演じていた宮本信子と芦田愛菜。宮本信子は関西と縁もゆかりもないのだが、若干のぎこちなさを残しながらも上手に関西弁の台詞を言っていて、努力の跡が見て取れた。他の役者の多くは関西人で固められていて、自然な関西弁の台詞が心地良かった。関西圏外出身の役者のほとんどは、不自然さを覚悟の上で標準語を話していたので、それを考えると尚宮本信子はすごい。夫の伊丹十三が亡くなってからはほとんど映画に出ていないとのことなので、他の役者に比べるとこの映画への準備に時間が取れたのかもしれないが、それを差し引いてもよくできていた。孫役の子は7歳らしいのだが、泣くシーンなどがとても自然で、よくこの歳でここまでできるなと感心してしまった。自分が保育園のときに演じた劇のビデオを観たことがあるのだが、それはひどい出来だったので、この歳でここまでやれることがどれほどすごいことなのかが身にしみてよく分かる。

それ以外では、いわゆる関西のおばちゃん達が電車内で迷惑な大声で騒ぎ立てたり、バッグを投げて席を確保したりするという典型的な光景が描かれていたことが印象に残った。皆派手な服を着て迷惑な大声で話しまくるという姿は全国的に有名になっているが、それを地で行くような映像になっていた。ただ、おばちゃんの悪行は関西に留まるものではないと思う。自分が東京にいた間にも同じような状況は経験した。地下鉄に乗っていたとき、わさわさと団体のおばさんが騒ぎながら乗ってきて、席を早足で探していた。自分は車両の隅だがシルバーシートではないという席に座っていたのだが、おばちゃん達はそれを見て、「ここの席取られてるわ。シルバーシートだけど。」と言いながら次の車両に去って行った。そもそもシルバーシートではないし、シルバーシートであったとしてもこのおばちゃん達には譲りたくないと心から思った。だって元気に騒ぎながら車内を走り回ってるし。自分だって、妊婦タグをカバンに付けた人が乗っていたら席を譲ったりしている。全てはおばちゃん達の行いの問題だ。それも、関西に限らず全国的な問題。

他には、阪急今津線沿いにキャンパスがある関西学院大学を受験したいが、今の成績では厳しいと担任から言われて悩む女子高生が登場していて興味深かった。関西圏以外の人にはあまりイメージが沸かないかもしれないが、関西学院はプロテスタント系の教育を行う清楚な学校で、関関同立と呼ばれる関西のトップ私学群の中でも校風に対する印象が抜群に良い。東京で言うと、青山学院や立教のイメージと重なる。そういう関西学院の学生を子供の頃から電車の中や近所で見てきて、憧れるという女子高生の気持ちはとてもよく分かる。立命館大と関西大は、どちらかというと法政や明治のイメージだ。だから、例えば女子高生が関西大に憧れるという状況設定は、関西学院に比べるとしっくり来ない。

この映画は夏に日本に帰ったときにぜひとも観たいと思っていたが、関西や地方中心にしか上映されておらず、時期的なタイミングも合わなかったので見送った作品。早い段階でiTunesに掲載されて本当に良かった。iTunesは1年前の冬休みに比べると映画の掲載本数が格段に増えたし、大々的に興行を行わなかった映画や面白いが興行に失敗した映画が、戦略的にiTunesで興行収入の補完を行おうとしているケースが増えてきているように思う。とにかくどんどん利用可能な本数を増やしていってほしいと思う。
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